夏の次の日

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「なあ…もうよしなさい」 それまで大滝同様黙っていた千華の父親が静かに言葉を発した。 「母さん。千華達が決めたことだ。ちゃんと夫婦で話し合ったんだ。認めてあげよう」 「そんなの……そんなのひどいっ、こんなひどい……」 父は泣いている母を連れ一旦部屋を出ていき、残された二人は黙り切っていた。 「……本当にごめんな。俺、みんなに迷惑かけてるな」 大滝は義母の想像以上の様子に落ち込み始めていた。 「あたし一度決めたことは絶対に曲げないから。あたしには一哉さんがいてくれればそれでいいの……」 千華は机の下で大滝の手をギュッと握った。 そして大滝の実家にも報告に行った。千華の両親よりもだいぶ年上の両親もやはり妊娠の報告だと期待していたらしい。 そして同様に全てを正直に話した。 「バチがあたったんだわ。こんないい奥さん貰ったから……」 母はわあっと泣き出した。 「千華さん。一哉と離婚して下さい。この子と別れて子供を産んで幸せな人生を……」 「すみませんお義母さん。それは出来ません。あたしには一哉さんが必要なんです」 「ああ、なんてこと……。千華さん……ーーーーー」 あれから二年。 両方の両親共、その後子供の話はしなくなった。 ただ千華の母だけは諦めきれない様子で、時々電話をくれる度に時々黙り無言の意見をしてくるらしいが……。
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