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「え…?……は、はい…。」
私は、土方さんを不審に思いながらも、断る理由もないと思い、ゆっくりと目を瞑った。
すると、スルリと繋いでいた土方さんの手の温もりが離れて行く。
そんな事だけでも、私は寂しくなってしまう……
カチャカチャと、何かをしている音が聞こえて来る。
目を瞑っているせいだろうか…。
いつもより、音に敏感になっている気がする。
何の前触れもなく、唇に触れられて、私はピクリと体を揺らした。
「……開けていいぞ」
今度は、優しい声で囁かれて、ゆっくりと、閉じていた瞳を開く。
「ほら。」
土方さんは、短くそう言って、私に鏡を手渡した。
私はおずおずと、鏡の中をのぞき込んでみる。
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