スメラギサクラ様へ―――

6/6
前へ
/93ページ
次へ
  鏡の中の光景に、私は目を見開いた。 「う…わぁ」 そんな、ありふれた感動の声しかでない。 鏡に映った私の唇には、綺麗な色の、紅が乗っていた。 「土方さん……これ…」 「……今日だろ?…お前が言ってた、くりすます。って」 土方さん…… 覚えててくれたんだ。 「でも私……お礼なんて…」 私は、手に乗っている紅を見つめながら、小さく言葉を漏らした。 すると土方さんは、唐突に…本当に唐突に、私の唇にキスを落とした。 「……これで、あいこだろ」 少しだけ顔を赤らめて言う土方さんが、なんだかすごく愛おしかった。  
/93ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20人が本棚に入れています
本棚に追加