恋の詩

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   そんなこんなで、俺は明日から冬休みのクリスマスイヴに、悲しくも教室で居残りとあいなったんだが、なぜか桐谷も『残る』と言い出した。  桐谷曰(いわ)く、『こうなったのは私の責任』なんだそうだ。  言ってる意味は分からんが、独りぼっちは寂しい過ぎるので、深く考えずにその申し出を受ける事に。  で、これまたなぜだか分からんが、桐谷は自分の席の椅子を持って来て、俺の目の前に陣取りおもむろに読書をはじめ、今にいたる、って訳だ。 「……どうしたの?」 「え? なにがだ?」 「ずっと見てるから。私の顔」 「あ、ああ。実はココがわかんなくてさ。教えてくれるとありがたいなぁ、なんて」  ついついガン見しちまって事をごまかしつつ、実際に悩んでいた問題について、学年トップクラスの才媛であらせられる冬花嬢にご教授願った。  せっかく頭いいヤツが目の前に居るんだし、その頭脳を生かさん手はないからな。
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