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「で?自分は一体どうなっちゃったのか説明してもらおうか」
「何でもないよ、君の血と魔力を頂いただけさ。ちょっと呪い付きで」
赤髪短髪のゴスロリ風悪魔は何でもないような表情と仕草で、思ったより平気な顔して立っている彼に言ってのける。
「と言うか、君は変わった体質みたいだね。魔力がいくらでも吸えたし上質だから、血をあまり吸わなくて済んだよ」
結構満足したらしくチェーンの尻尾を振り、喜びを表していると思われる。その顔も悪魔とは思えないほど可愛らしい笑顔を見せている。
「それは自分の能力が【火と氷属性魔法を無限に出せる能力】だからだよ」
「ほう、じゃあ君の血も美味しかった理由はなにさ? そこは魔力じゃどうにもならない部分のはずだけど」
「そりゃあ、食事の管理、適度の運動、そして十分の休息と睡眠……なんで自分はぺらぺらとこんなこと喋ってるんだ!?」
こちら側から聞きたいことがあるにも関わらず、このゴスロリ悪魔が質問したことに何故か丁寧に答えてしまっている自分に驚く田舎青年。
「ちょっと呪い付きって言っただろ?ちょっとボクの言うことを聞きやすくなる様にしたからだよ。幸運だね」
「いや全然」
いや、もっと驚くところじゃない? とも思う訳なんですけど。
「ところで、お前は何者だ? 一連の行動からするに吸血鬼っぽいけど」
「そうさ、太陽の光、ニンニク、十字架、銀の杭、流水等の弱点が多い吸血鬼の中でもその弱点を一切持たず、パワーやスピード、再生能力、魔力と言った長所が並の吸血鬼以上の<最強の吸血鬼>とはボクの事さ」
誇らしく自分の正体を話す彼女は無い胸を張る。
「へぇ、すごいね。ところでその呪いを解くにはどうすれば良い?」
褒めているがどこか適当さ感じる言葉に納得いかなかったのか、最強の吸血鬼さんは眉を細めながら答える。
「ボクを殺せば解けるけど?」
その言葉に田舎の青年は何か考えるように視線を吸血鬼から逸らし、考えると、
「……じゃあ、どうしようも出来ないじゃん……」
と、困ったような表情で答える。
しかし、その言葉に今度は吸血鬼が目を見開き驚く。
「いや、だから殺せば解けるって……もしかしてボクを殺すことはできなぁ~いとかそんな男らしくない理由?」
「うん」
あっさり答えた彼に飽きれたのか大きくため息を付き、手で顔を覆う。
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