2章

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視界が明るくなった気がした。カーテンの僅かな隙間から朝日が入ってきている。 どんなに睡眠時間が短くとも、決まった時間に起きてしまう自分自身に感心してしまう。しかしやはり睡眠時間が足りないのか、まだ何となく頭がぼーっとする。 …ああ、体がダルい。 額に手の甲を当てるが熱はなさそうだ。単純に休み足りないのだろうが、生憎生徒会室にはまだ処理を待っている書類たちがいる。行かなくては…。 顔を洗う。 歯を磨く。 制服に着替える。 最近、朝ごはんを食べる食欲も湧かないので、すっかりパターン化した行動をとる。 以前までは、起きたら紅茶をゆっくり味わって、ぼーっとしながら日光浴をして、騒がしく迎えに来る空と陸を待っていたりしたのだが。 転校生が来たのを境に、その習慣は無くなってしまった。別に寂しくはないけれど…まだ、慣れない。慣れない、だけ。 ふああ。それにしてもまだ眠気が醒めない。こんなだらしない顔、親衛隊の子たちには見せられないな…。 副会長様は天蓋付きの大きなベッドで、クラシックを聴きながらシルクのパジャマに身を包んで眠りにつく。朝は小鳥の囀りで目を覚まし、優雅なモーニングティーで1日を始めるのだ…。 と夢を見ている親衛隊のみんなのためにも、僕は今日も微笑みを貼り付けて部屋を出た。
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