第一章 刹那的

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中学に入ってから彼女との関係性は普通に皆無だったと言っていい。僕は同じクラスの女の子に恋をしていた真っ最中で、彼女は隣の隣のクラスだったから、名前すら聞かなかった。 ある時、僕の当時大好きだった女の子が、 「ねぇ、坂元結衣ちゃんって、知ってる?」 と聞いてきたようなことがあった。僕は興味がなかったので、 「興味ない」 とだけ答えた気がする。今思えば好きな人に対して僕は異常な興味や好奇心を示すのに、それを全く表に出さない淡泊な態度をとっていたことが多かった。クールさに目覚めたかったのだろうか。忘れた。
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