1ヶ月後

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 奏ではカナメの指導を受けながら、ダイキが奮闘している。  ダイキは髪を短くしてからやる気が出たのか、根を上げる事もなく、昔から愛想笑いは得意分野だから、お客さんの受けも悪くはない。 「お客さんの顔が生き生きしてないか?」  師匠がカナメに話しかける。 「そう言われれば、なんだか楽しそうですね。こっちとしてはありがたい事ですけど」 「ダイキは人を惹き付ける素質があるのかもなあ~」 「あいつはあそこまで髪を短くした事ないんですよ。僕も驚きました。こいつこんな男前だったのか? って」 「そうか。女性のお客さんは彼目当てってのもあるな」 「師匠――。僕の立場は……?」 「ははは、カナメは腕で勝負しろ。わたしもだがね」師匠は苦笑い。 「ふぅ~、やっぱ女性はイケメン好きなんですね……」 「男だって、美人でかわいい人が好きだろ? 一緒、一緒。眺めるだけで気持ちが明るくなるってもんさ」 「眺めるだけ……ですか……」  カナメはまなみの事を考えていた。  眺めるだけじゃなく、話しも出来たし、自分の作った物を食べてくれたんだから、これ以上求める方がどうかしてる。  名前しか知らない人なんだから。  しかし、カナメはまなみに会いたかった。  気になって仕方がなかった。  
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