24人が本棚に入れています
本棚に追加
奏ではカナメの指導を受けながら、ダイキが奮闘している。
ダイキは髪を短くしてからやる気が出たのか、根を上げる事もなく、昔から愛想笑いは得意分野だから、お客さんの受けも悪くはない。
「お客さんの顔が生き生きしてないか?」
師匠がカナメに話しかける。
「そう言われれば、なんだか楽しそうですね。こっちとしてはありがたい事ですけど」
「ダイキは人を惹き付ける素質があるのかもなあ~」
「あいつはあそこまで髪を短くした事ないんですよ。僕も驚きました。こいつこんな男前だったのか? って」
「そうか。女性のお客さんは彼目当てってのもあるな」
「師匠――。僕の立場は……?」
「ははは、カナメは腕で勝負しろ。わたしもだがね」師匠は苦笑い。
「ふぅ~、やっぱ女性はイケメン好きなんですね……」
「男だって、美人でかわいい人が好きだろ? 一緒、一緒。眺めるだけで気持ちが明るくなるってもんさ」
「眺めるだけ……ですか……」
カナメはまなみの事を考えていた。
眺めるだけじゃなく、話しも出来たし、自分の作った物を食べてくれたんだから、これ以上求める方がどうかしてる。
名前しか知らない人なんだから。
しかし、カナメはまなみに会いたかった。
気になって仕方がなかった。
最初のコメントを投稿しよう!