prolog

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ただその普通が崩れ始めたのはいつからだろう。 あぁ、よくよく考えてみれば、中高一貫で周りには顔見知りしかいないこの学校に、季節はずれの転校生がきてからだったか。 そうだ。あいつが、この学園はおかしいと、だから俺がこの学園を変えてやると豪語したあの日から、俺の生活…。いや、この学園にいるみんなの生活がおかしくなっていったんだ。 この学園は転校生から見るとそんなにおかしいのだろうか。 いや、確かに同性愛が当たり前のようになってしまっている風習はおかしいと思っても不思議じゃないし、自主性を重んじるからと、学校の運営をここまで生徒に丸投げしている学校は他にはないだろうとは思う。 だがそれがこの学園の普通なのだ。何年も何年も、それでいいように回っていたのだ。 変える必要なんてどこにもなかった。 そう思うのは俺だけじゃないはずだ。 だけどアイツはこの学園の改革をし始めた。 手始めに、学園の運営を大手に担っている生徒会の面々を篭絡していったのだ。 俺からしたら転校生が美形を侍らせて幸せに浸っているだけのように思えるが、実際に滅茶苦茶になりつつあるこの学園のことを思えば、アイツなりの改革だったのかもしれない。
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