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目が覚めると、目元が濡れていた。
寝返りをうつと、枕も濡れていた。
そこで漸く、ワタシはワタシが泣いていたことに気が付いた。
(…嫌な夢を見た。)
記憶は残酷にも、朧気に浮き上がってきた。
アレは夢じゃない。自分の過去に実際あった話。
あの日結局、父の拳骨で後頭部の傷は開かなかったものの、開かなかった所為で頭の中で切れた血管から出た血が逃げられず、所謂脳内出血とやらを起こしてはじめて病院に連れて行かれたのだ。
病院に連れて行ってもらえて、生きていいと言われた気がして凄く安心したのを覚えている。
今思えば、「虐待しているようにとられたら困る」と思ったからなのかもしれないが。
まだ4才半だった自分は、そんなことも考えつかずに手放しに喜んで安心していた。
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