イチ

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後頭部に手を回してソコに触れれば、ヌルっとした気持ち悪い感触がした。 触れた手を目の前に持ってきて見てみれば、赤く染まる指先。 見た途端、後悔した。 確認してしまったが為に脳内に警鐘が鳴る。 ドクン、ドクンと、どこかの血液が脈打っている。 喉の奥からナニカが競り上がってくる。 鳥肌がたって身体中の穴から冷たい汗が出る。 俯いているワタシの視界に映った人の足。 視線を上げてそのヒトを見て、私は何も言えずに、逃げるように意識を手放した。 目の前のヒトは、涙を流しながらワタシをただ見ていた。
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