18人が本棚に入れています
本棚に追加
/54ページ
いつも通りの朝だった。
寒いのか、布団が僕をなかなか離してくれなくて、遅刻しちゃうかもなんて呑気に考えたし、家の前では今岡さんが待っていて、手をつないでいっしょに登校した。
すれ違うサラリーマンも学生もいつもの不細工ばかりだったし、学校に着いてもいつも見る顔ばかりだった。
おはよう、と栗林に声をかけられて、面倒くさげにうなずいてみせたし、それからしばらくして学校が始まった。授業中にはちゃんと睡魔に襲われた。もちろん負けて、顔に赤い寝痕をつけた。
ただ一つ違ったことといえば、僕に昼休みがあったこと。
最近の僕の日常では、栗林の「ためにならない話」のせいで昼休みが存在していたなかったのだけど、その日、栗林は昼休みに入るとともにどこかへ消えた。
最初、どこへいったのだろうと考えた。次に、まあいいかと納得した。その後、昼休みを一人で過ごせると知ってうれしくなった。
僕は前日にスーパーで買っておいた弁当を食べた。ごはんは油を塗ってあるのかテカテカと光っていた。梅干しは着色料により真っ赤に燃えていた(大袈裟)。煮魚はほとんど骨がなくて食べやすかった。いつもの弁当だった。
顔をあげて教室の前の方を覗けば、いつも通り、本を読みながらおにぎりを食べる親友がいた。そこから右の、席を二つ挟んだところでは、四人の男子が集まって、楽しそうに弁当を食べていた。そのすぐ後ろには、三人の女子のグループがあった。視線を左に滑らせれば、また別のグループがあったし、いつも通り、一人で過ごすやつもいた。
最初のコメントを投稿しよう!