18人が本棚に入れています
本棚に追加
それからなにがあったっけ。
僕の代わりに窓を閉めようとでもしたやつが、僕と同じように窓の下を覗いて、僕と同じように固まって。その時点でクラスの視線は僕たちに向いていたはずだから、みんな、どうしたのか不思議に思って、一人ひとり、覗いては固まって。
そんな異様なクラスに先生が戻ってきて、ソコになにがあるのかを確かめるために、生徒を掻き分けて窓の下を覗く。状況を理解した先生は、職員室にでも走って応援を呼ぶと、ソレの元に駆けていった。
こんな感じだろうか。
ソレの元に群がる幾人もの大人の姿や、いろんな教室から生えた頭とかは、よく覚えている。耳の奥では救急車のサイレンがこびりついてもいる。
あとは、どこからともなく聞こえた「栗林」という言葉。
もしかしたら、だれかが発した言葉ではなくて、僕の幻想が作りだした、ただの空耳だったのかもしれない。とも思う。
今となってはたしかめようがない。ただ、僕が見た「影」や「地面に横たわるソレ」は栗林だったことはたしかで、
栗林は死んだ――ということも……。いや、たぶん……、おそらく、そうなのだろう。
最初のコメントを投稿しよう!