鈍感

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「思えばさー俺ら、結構仲良かったのに今までこうやって遊んだことなかったよな」 わたしが藤岡に貰ったキーホルダーを眺めていると、藤岡が言った。 「そーいえばそーだね」 「これからはさ、いっぱい遊ぼーぜ」 「うん!」 藤岡からそんなこと言ってくれるなんて思ってもみなかった。 今日は嬉しいことばっかりだな。 そう思っていると 「ずっと友達でいよーな」 藤岡が笑顔で言った。 ――ずっと友達 「嫌だ」 「え?」 「わたしはずっと友達なんて嫌」 わたしは咄嗟にそう言ってしまった。 「なんで…?」 藤岡は困ったような顔をしている。 「わたしは…藤岡と友達じゃなくて…それ以上になりたい」 言っちゃった…。 藤岡は…どう思うかな。 「………あぁ、俺も」 「うそ…ほんとに?!」 「うん!俺も山田と友達じゃなくて、親友になりたい!」 「…は?」 シンユウ…? 「俺ら今日から普通の友達以上だな」 「そうゆう意味じゃ…なくて…」 でもわたしが何を言っても藤岡には伝わらない。 忘れていた。 藤岡托人とゆう人間は、 超~鈍感であるということを。
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