ライオンの幽霊

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『愛されたい』 それはあたしの願望であって、そしてそれは既に叶えられている。 「なんかお化粧ノリ悪いな…」 体育で汗ばんだ額に念入りにファンデーションを塗る。 こなれた手付きでスポンジを額にパタパタと当てる。 「こんなもんかなぁ…?」 「千花、そろそろ行かないとだよ?りーちゃんと咲希もう先に行っちゃったよ?」 「はぁーい!まー子今行く!」 満足の出来ではなかったけど、時間も時間なので諦めることにした。 カチャカチャとお化粧道具を鳴らしてポーチにしまった。 制服のリボンを雑に結んであたしは超特急で荷物をまとめた。 「まー子!お待たせっ!!」 背の高いまー子はあたしの首に腕を回してにっこりと笑った。 「千花おっそいよ」 「あははっごめんごめん!戻ろう~!おなか空いたね!」 「うん」 あたし達は誰もいない更衣室から出て教室へ向かった。
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