ライオンの幽霊

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「千花、ちょっと背伸びた?」 「えっ!?本当!?」 「うん、肩の位置が高くなったような…いや、ちょっとだよ?そんなキラキラした期待の目で見ないでよ」 「ちぇー…まー子にはなかなか追い付けないね」 「あははっあんたあたしに追い付く気?あと10cm以上あるよ?」 「夢見るのは自由でしょー!まー子足長いよね。ううっ…うらやましい!」 学食に行くために降りてくる人の流れに逆らって、あたし達は階段を昇る。 「あ、井川麻衣子じゃん」 「ひゅー…可愛い」 2年の先輩と思われる人達がまー子を見てニヤニヤする。 騒がれるのに慣れっこのまー子は華麗にスルーして歩いてく。 まー子美人だもんなぁ。 「俺でもさ、いつも一緒にいるあの子の方が好み。なんか素朴だけど愛嬌あるじゃん?」 わっ…あたし!? ラッキー!! 「えー…あいつはないだろ。額の傷見たか?俺はあんな傷もんなんていらねー」 「ぎゃははっ脇田酷すぎ!!」 こんな会話が通りすぎてまー子が顔色を変えた。 「ちょっとあんたたち!!謝れよ「まー子!!」 まー子が先輩達に突っかかったからあたしはまー子の制服の袖を掴んだ。 「まー子、いいよ。行こう?」 「っ…」 あたしはまー子の腕を掴んで無理やり階段を昇らせようとする。 「でもっ…」 大丈夫だよまー子。 あたし慣れっこだから。 「早くご飯食べよ?ほら…わっ!」 未練たっぷりのまー子を引っ張るのに必死で前を見てなかったから、誰かにぶつかった。
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