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翌日、俺は椅子に仏頂面で座っていた。
昨日、くそ女の話を聞いて回ったが、どうやらあいつは基本的に一人で、話掛けてもガン無視で、最初から相手を拒絶する姿勢でいるそうだ。
俺は聞き込みをしたことを半ば後悔していた。
聞き込みをしたせいで、尚更あいつの考えていることが分からなくなった事が、理由の筆頭に入る。
もうひとつ挙げておくとすれば、これをしたおかげで聞いた相手に余計な探りを入れられる羽目になった。
これは、最初から考えていた『リスク』と言うものだが、利益はなかったどころか、このリスクを差し引いてさえマイナスにしかならない。
これであいつの腹んなかが読めるか、と思ったがとんでもない、更に迷宮入りしてしまった。
快活な人間であれば無意味に声を掛けただけで済ませられたのに、相手が暗い意味で有名な女だと分かっちまったらその可能性もあり得ない。
こんな得体の知れない状況を続けるのは、俺にとって苦痛でしかないぞ……
頭の中でごちゃごちゃ考えていると、不意に前から手が現れる。
その手は俺の机に落ち着き、
続いて、
「…屋上に、来て」
頭上から声を掛けられた。
「……なんの用だ、くそ女」
俺は不機嫌な声音を隠すことなくかえす。
「…お昼を、一緒に食べたい」
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