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俺はバッ、と制服の上の方をまくりあげ、社会の窓に確認する。
「……あれ?」
見てみたところ、社会の窓はしっかりと肌寒い春に対応して窓口を閉めていた。
これは一体どういう事かと女子の方を見てみると、顔を横に俯けて肩を震わせている。
今度は別の意味で顔の筋肉が稼動する、
「……おーい、あんた、顔を背けてどうしたんだ」
「……焦って制服をまくる直樹の顔、すごく面白かった」
「てめっ、初対面にしては随分スパイスの効いた冗談じゃねえかよ」
本来ならどうして自己紹介もしていないのに俺の名前が分かったのか問い詰めるところだが、
度の過ぎた冗談のせいで頭に血がのぼっていたためにそこまで考える事ができなかった。
「……ああもう、いちいち怒っても仕方ねえ、お前、名前は」
いつまでも頭の中で彼女というのもあれなので、怒りを静めて相手に問いた。
「……人に名前を聞くときは自分から名乗る、これ常識」
正論なだけに、なんか無性に腹がたつ台詞だった。
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