―始動―

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 しかし、これがアスカ本来の姿と言える。  本当は一人で帰るのが寂しいだけのはずだ。表情とか見たら、簡単に分かってしまうほどわかり易い奴なのだ。 「無理して一緒に帰ることないぞ。俺はサラと二人でもいいし」 だから、こんな風にいじわるしてみると……、 「なっ、そんなの許さないわよ!? あたしも一緒に帰るの!」  ほら、こんな感じになるんだ。  本気で置いて行かれると思ったのか、アスカは机にしまっていた教科書類を必死に鞄に詰め込みだした。 「アスカちゃん、一緒に帰りたいならそう言えばいいのに」 「ち、違うわよサラ! 今日は大事な用があるのよ!」 「? 大事な用があるなら私たち先に帰るよ?」 「だから違うってばぁ~っ!」  サラ、もうそこらへんで許してやれよ。アスカのやつ顔真っ赤にしてるぞ。  しかし、やっぱりサラには自分の言ってる内容の残酷さに気付いていない。  天然ってホントすげーなぁ……。
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