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セイレーンの街を真っ二つにする大通りをしばらく歩き、人の流れに身をまかせるようにアスカの後ろについていく。
「なぁアスカ。俺ら未成年だからな。分かってんのか?」
「わかってるわよ。それに未成年関係ないじゃない。もう十七歳でしょ?」
アスカの用事とやらは、実は個人的な用事ではなかったらしい。
最近あった諸々の出来事に対して俺にお礼をしたかったらしく、今はギルド本部の右隣に君臨するバー〝ナイトキャサリン〟の目の前だ。
さらにだな。
どうやらルーンでは十七から飲酒は許されるらしい。
だからって……なぁ。
「……オッサンかよ」
まだ空は明るい。しかも〝お礼〟に〝バー〟とは……。
仕事帰りのオッサンじゃねーか。
「あたしがおごってあげるんだから文句はなし! 本当はリザも一緒がよかったんだけど、今回は仕方ないわね」
おーい、ケイトを忘れてますよ?
そんな入り交じる色々な思いを感じながら、扉を開くアスカに続いて俺は人生初のバーへと進行した。
ちょっと大人の気分になったのは言うまでもない。
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