―始動―

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 よ、よし。俺も食べてみたいし、お言葉に甘えてしまおう。 「あ、あ~ん」  ぎこちない動きで俺は口を開けていつでもウェルカム状態。  そしてアスカは笑顔のままケーキを俺の口に―― 「あ~~ん。う~ん、おいしいっ」  あれ? おかしいな。ケーキが俺の目の前でUターンしてアスカの口に吸い込まれてしまった。 「だ、だましたな!?」  これは酷い! 悪魔のような女だ。 「アスカちゃん。レイくんがかわいそうだよ」  涙を噛み締める俺をアスカはバカを見るように笑った。  こうやって人の心は廃れていくんだな。なんか以前にもこんなことがあったような気がするよ。 「アスカちゃんがあげないなら私があげるよ」  今度はサラがケーキを差し出してきた。 「い、いいのか?」 「うんっ。レイくんにはお世話になってるから」  無邪気なかわいらしい笑顔で嬉しいことを言ってくれる。なぜかサラの猫耳はせわしなくピロピロし、尻尾はゆったり動いている。 「じゃ、今度こそ……」 「レイくん、あーん」 「あ~……――」 「やっぱりやーめたっ!」  悪夢再来。お宝はサラの口へと運ばれてしまった。  もう帰っていいかな、俺……。
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