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哀しみにうちひしがれていると、オカマな声が聞こえてきた。
「イジメちゃだめよん二人とも。はい、レイ君もどうぞ」
「いやっ、いま金持ってないですよ」
普段からあまり金は持ち歩いてないし、おやじが残してくれた金も手を付けてない。
「いいのよ、お店からのサービス」
最後にハートマークの付きそうな言い方だったが、そんなの関係ねぇ!
キャサリンさんめっちゃいい人決定!
「ダメですよ甘やかしちゃ」
「お前は嫌がらせして楽しんでるだけだろーが!」
「そんなことないわよ。ねぇサラ?」
「えっ? あ、ごめん。聞いてなかった」
うん。ケーキがっついてたもんな。
「あれ、レイくんケーキ貰えたんだ。よかったね!」
な、なんてマイペースな娘なんだろう。まぁこれがサラなんだけど。
カランカラン――
「いらっしゃ~い」
俺たちがそんな誰も笑いそうにないコメディーを繰り広げていると、二人組の男性客が入ってきた。
慣れた感じに丸テーブルに着いたところを見ると常連客だろうか。
直ぐさま水を出すキャサリンさんを目で追っていると、アスカは俺への嫌がらせをやめてケーキへと向き直った。
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