372人が本棚に入れています
本棚に追加
俺もケーキを食べようかと前を向いたが、その客とキャサリンさんの会話がなぜか耳に入ってきた。
『聞いたぜキャサリン。パドリアで一発かましたらしいじゃねーか』
『それなら、俺も聞いた! その怪我もそん時やったんだろ? 大丈夫かよ?』
『たいしたことないわよ。ちょっとトラブルがあっただけ。心配してくれてありがとっ。いつものでいい?』
男性客二人は、あぁ、と答える。
パドリアか。授業でもやったな。たしか、セイレーンから西の方にあって、エルフが大勢集まって出来た小さな国だとか。
争いが全くと言っていいほど無くて平和な国らしい。
その反面、争いがないがために国を守る軍の実践経験が足りず、万が一に戦争が起こったら一番危ない国だとか。
まぁ歴史から見ても、大きな戦争があったのはもう何百年も前の話で、いまの時代戦争なんて起こる気配すらない。
というのがいまのルーンだ。
世界的に見てもルーンは平和なのだ。
俺がそんな風に考えていると、左側の席がガタッと鳴った。
立ち上がったサラだった。
「サラ?」
俺とアスカも食べるのを中断してサラを見る。
先程まで幸せそうにケーキを食べていたのに、驚愕の表情を浮かべて男性客の方を見ていた。
最初のコメントを投稿しよう!