―罪―

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屋敷を出ると陸へと続く橋へ伸びる道以外は、ぐるりと林が広がっている。 湖に浮かぶ小さな島に建てられたエンディス邸は、まるで隠された秘密の屋敷だな。とケイトは一人思う。 外から見た以上に島はそれなりの敷地があるようだ。きれいに等間隔に植えられた木々の間を抜け、視界が広がるとそこは目を奪われるような光景だった。 キラキラと光る砂浜。海ではないから波はないが、穏やかな水面が太陽の光を乱反射させている。 まるで王族御用達のビーチだなと感動半分、こんなの必要か? と呆れ半分のケイトはゆっくりと砂の感触を感じながら浜を進む。 これが夕方なら風景として完璧なのだが、あいにく太陽ははるか上に昇っている。 「……リザ」 浜に体操座りをする彼女に声をかける。 「なんだ」 と無粋な返事が返ってきた。 しかも、 「私は一人になりたかったんだけどな」 肩越しにケイトを見ながらそう付け加えた。
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