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「どうしたのよ、サラ」
なんだか難しい顔をしていて、心なしか辛そうだ。
大丈夫か、と声をかける前に、サラは意を決したように男性客の方に行った。
そして――
「あ、あのっ! パドリアでなにかあったんですかっ!?」
知らない人との会話を得意としないサラが、精一杯の声を出していた。
当然、男性客二人は驚く。
『いきなりなんだ!? って、エルフ? じゃあ君はパドリアから……?』
「なにが、あったのか教えて……くださいっ!」
切実にサラは叫ぶように聞く。幸い、客はその二人組と俺たちだけだったので、二人組は困惑しながらも知っていることをサラに教える。
『噂に聞いただけだが、どうやら不気味な集団にパドリアの領主の屋敷が攻撃されたらしい』
「う、嘘……っ!?」
『まぁ、すぐにセイレーンのギルドから何人か送られて――って君っ!?』
「ちょっサラ!?」
サラは男性の話を聞き終わる前に顔色を真っ青にして店から飛び出そうとするが、すぐにアスカが止めた。
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