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空の彼方を眺めるように上を仰ぎ、ケイトは目を細める。
リザはその表情に胸がチクリと痛みを覚えた。
と、ケイトはすぐにニカッと爽やかな笑顔をリザに向ける。
「あいつらには黙っといてやるよ。多分面白い半分に冷やかされるからな。特にアスカとか……」
「いや、違う! 私は――!」
「隠すなって、つかもう手遅れだぜ? 俺はそういう女心はわかんねぇけど、お前のちょっとした変化なら気づく」
付き合いなげーからな、と付け加えたケイトはなんだか満足そうで、リザはだんだんと熱いものが胸に集まってきた。
さっきまでは悲しそうにしていたのに、勝手に自己完結して――私はお前にとって何なんだ?
「――ケイトッ!」
リザは叫んだ。
自分でも驚くほどの声量でケイトも目を丸くさせている。
――昔の自分なら、こんな大きな声は出なかった。変えてくれたのはケイト……お前だろ?
「私を見ろ!」
「み、見てるけど……?」
「見てない! お前は本当の私を知らないッ! 上っ面だけで知っているとか言うな!」
こう言わせているのはなんだ? リザは勝手に動く口に疑問を抱く。
答えはすぐに出た。
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