―罪―

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「――――」 目を伏せるリザ。 それと同時に背後から乱入者が現れた。 「あ、いたいた。そろそろ帰るからすぐに戻れってミラさんが言ってたわよ!」 そんなことを林を抜けたすぐの所で叫ぶアスカはこっちまで足を運ぶつもりはないらしい。 「おぅ、すぐに戻る!」 ケイトは手を振り、そう答えた。 アスカはすぐに林の向こうに引っ込んで行った。 ケイトが視線を戻すと、リザは泣き出すのをこらえる子供みたいに口をキュッと紡いでいた。 「……戻るか」 「…………あぁ」 一つ間を置いて答えるリザに力はなく、 「……もういい」 と、付け加えた、ケイトの横をすり抜けて屋敷へと向かう。 怒らせたか……、と自分の不甲斐なさに嘆息するケイトは、はたと気づく。 「なぁリザ」 ピタリとポニーテールの揺れがおさまる。 「お前の悩みってのは、〝ソレ〟だったのか?」 空気の読めなさにリザはギリッと歯を噛んだ。だが、ケイトを叱ることはできない。全部自分のせいだからだ。 「――いや、あの赤髪のやつだ。あの時、なぜ逃がしたのか……と思っていた。本当にしくじった。仲間を傷付けたんだ――殺してやればよかったよ」 肩越しに、冷酷な言葉を告げられ、ケイトはゾクリとした。 あの時の状況なら、リザなら氷ごと奴を亡き者にすることが可能だと、知っていたからだ。
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