―罪―

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――時は少し巻き戻り、ギルド〝パドリア支部〟。 本部よりは幾分か狭い支部長室。そこには五人の姿。 パドリア支部ギルドマスター〝リリー=エンディス〟 パドリア領主〝クレイド=エンディス〟 ギルド本部四位〝蒼き炎龍、ガイ=アルバス〟 ギルド本部七位〝純白の天使、ミラ〟 セイレーン魔導軍総隊長〝ロイド=ヴェルデス〟 世界に名の知れた豪華な面子であるが、雰囲気は最悪である。 「なんだってこのメンバーが運良く集まるんだい。出来すぎじゃないか」 不機嫌オーラを充満させているのはこの場で一番発言力があるリリーだ。 もっとも、彼女を爆発させまいと周りが自重しているだけであるが……。 しかし彼女の意見は全員一致で、それがある意味現在の悩みの種であったりする。 「おいロイド。どうして総隊長ともあろう身分の高い貴様が送られた。スパイか?」 「なにを言う、リリー殿。私はセイレーン魔導軍の代表であり、唯一パドリアへの入国を許されている。他に誰が来ようか」 簡単に言えば、リリーはセイレーン魔導軍が信用ならず、唯一信用できるのがロイドのみだったというわけだ。 ちなみにギルドマスターと言えど他国籍の人物への入国制限はできない。 それができるのは領主だ。
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