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しとしきり笑顔を見せたレイラは
「さて……」
空いていた席に着くや世間話のようにその場にいる全員を見渡す。
「なにがあった? 私の生徒が巻き込まれたとあれば、協力せざるを得ない」
「なにを言ってんだい。最初から関わってるじゃないか、レイラは」
リリーはすかさずレイラの心中を射る。
ギルド本部の構成員である以上、ダークネスの関わる騒動には顔を背けることはできない。
基本的に学校優先で、ギルドにはあまり顔を出さないレイラであってもそれは例外ではなかった。
「……それもそうだな」
フッと笑みを浮かべるレイラ。
そして、ここ数日の間に起こった騒動について簡潔にまとめた内容をレイラは聞いた。
初めのパドリア襲撃はそれなりに知っていた彼女であるが、それ以降、つまり二回目の襲撃は初耳同然だった。
「……二回目、か。その時はパドリア軍は動かさなかったのか」
この質問には、指揮権を持つクレイドが答えた。
「えぇ。一度目の奇襲のせいで戦える者が少なかったですし……、なにより軍が出る前にギルドの者たちが躍起になって……」
「うちのギルドは血の気が多い奴が大勢いるからね。数的問題がなければ軍にも引けを取らない連中さ」
リリーがそう付け加えた。
一般的にパドリアは平和の代名詞のような国ではあるが、ギルドだけは例外だ。
硬い組織を嫌い、自由の効く彼らは自らの信念のみで突き動く。
祖国のため、という猛者が大半なのだ。
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