はじめに

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――ギルド本部  世界貿易交流王都セイレーン。  文字通り魔法の世界〝ルーン〟の中心となっている街に存在するギルド本部。  国や民間からの依頼を受け持つギルドの総本山に当たる本部は、いつも以上に緊迫した雰囲気が漂っていた。 「〝パドリア〟で原因不明の爆発発生、負傷者多数! 支援を要求されています!」 「郊外に複数の大型の魔物が確認されています!」  明らかに不自然な事故や魔物騒動が最近増えてきている。 「また奴らか……」 「ねぇ、マスター。〝パドリア〟のもダークネスなのかな」  セイレーンから西に位置する自然に溢れた国〝パドリア〟  大きな事故や事件は滅多に起こらない平和な国である。原因不明の爆発が起こるなんて考えにくい。 「おそらく、な……。だが、なぜパドリアに……」 「あそこって〝エルフ〟が集まって出来た国だよね? なにかあるのかな……」  淡いオレンジ色の髪をした小柄な少女、ミラは首を捻る。  最近の多発する奇妙な事件にダークネスが絡んでいることは間違いなかった。  しかし、セイレーンとは離れた場所ばかりで発生する異常事態に、なにが目的なのか分かっていないのだ。
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