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「パドリアから情報です! 黒いローブを着た集団を確認、小規模な戦闘があったとのことです!」
緊急に配備した情報室には多くの魔導師たちがせわしなく動いている。
マスターであるデルスは的確な指示を出しながら事態の収拾を急いでいた。
「出来るだけパドリアを優先して、郊外の魔物は手の空いてる者が討伐に向かえ」
指示は細部にまで伝えられ、情報もしっかりと入ってきていた。
「黒いローブ……、奴らだね」
次々に入ってくる情報の中には黒い入れ墨のような印を見た、というのもあった。
「ミラ、ここにいたか。後はみんな任せて学校に向かうぞ」
ドアが開く音とともに凛とした声が聞こえた。そこには魔法学校の校長であるレイラがいた。
銀色に光る紙を背中まで伸ばす彼女は、どうやらミラを捜していたようだ。
「えっ? でも……」
「大丈夫だ。パドリアにはガイとキャサリンが向かっている。事態がおさまるのは時間の問題だろう」
ギルド本部でも主力とされている魔導師が二人も加勢に行くのだから、レイラの言葉は正しい。
しかし、それでもミラは渋ってしまう。
ただでさえ緊急事態なのに手伝わなくていいのかと心配しているのだ。
「ミラ、心配なのはわかるが、みんなが出払ってるせいで学校のほうも人手が足りないんだ」
ギルド本部に所属している魔導師の大半は魔法学校の教員だったり、なにかしらの関係を持っている。
学校の方も、人手が足りなくて緊急事態なのだ。
マスターの後押しもあって、ミラはようやく首を縦に振った。
「よし、では行くぞ」
レイラとミラは転送魔法で学校に向かうのだった。
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