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「いいじゃねーかリザ。どーせ誰も勉強なんてしねーって」
そう言いながら抗議するのは、茶髪をライオンのように上げて野性的な顔をしている〝ケイト=ハーバート〟。周りの男子も「そうだそうだ!」と騒ぎ出す。
いまさらだが、このクラスは問題児が集められている気がするよ。
てかケイト。お前はそっち側につくのか。
「……ケイト」
リザの冷たい声が響く。
その不自然に怖い声色に教室の中がシンとした。
「なんだよ」
「お前、この間私に言った一言を覚えているか?」
「は……?」
あ……、こりゃケイトの負けだな。
おそらくは〝あのネタ〟だろう。
「お前が寝ぼけて私にメイ――」
「よっしゃーっ! 全員席につけ! 勉強するぞ勉強!」
『裏切るのかてめぇ!』
『めい、ってなんだ!? 気になる! 教えろ!』
瞬く間にケイトに批難が集中した。しかしケイトも負けじと叫ぶ。
「うるせぇーっ! いまは授業中だ! 静かに勉学に励む時間だろーが!」
今まで遊んでたのはどこのどいつだ。弱みを出された途端に手の平反しやがった。
まぁ、たしかに俺でもそうするかな。てかリザ、暴露する気だったのか? リザだって恥ずかしがってたのに……。
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