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その様子を眺めていた俺の肩をアスカがペンでつついてきた。
「ほらレイ、なによそ見してんのよ。あっちは放っといてアンタはこっちに集中しなさい」
「へーい」
「はい、でしょっ!?」
母親かお前は。
とはいえ、勉強を教えてもらっているのでそんなこと言えない。
金髪つり目女アスカは、俺の机に広げられた魔法学の教科書をバシバシ叩いている。
「はいはい、わかったよ」
「ハイは一回!」
「わーったよ! いいから次! こっち教えてくれ」
アスカは一度その鋭い視線を俺に突き刺して、しかたないわねぇ、と不機嫌そうな口調とは裏腹に嬉しそうな表情で丁寧に教えてくれた。
「こんなの一年生で習う範囲じゃない。どうしてわかんないのよ」
「俺一年生やってないし」
「だとしてもよっ! それと、言い訳しない!」
な、なんて理不尽なっ!
俺は最近までこの世界とは違う世界にいたんだぞ? この世界〝ルーン〟の常識だってまだ完璧じゃないのに……。
「なによ。文句あるならハッキリ言ってみなさい」
俺の不服な表情から不満がばれたらしく、さらにアスカは目を吊り上げる。
いつも思うのだが、俺に接する時ってだいたい怒ってない?
たまに見せる笑顔は、すごくカワイイのに。実にもったいない。
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