最高の女

6/16
前へ
/16ページ
次へ
酔った後輩から 妙な紹介所のチケットを押し付けられ、 何か矢城の名前やら 個人情報が書いてありでもしたら困ると思い、 とりあえず上着のポケットに捩じ込んだまま、 俺は苛立ちもあって 一人でバーで飲み直してから 夜遅く、 一人で暮らす賃貸マンションに帰宅した。 江東区の古いマンション。 古いから値段も決して高くはなく、 一人で住むには広々としていることが 取り柄だが、 廊下は薄暗いし、 どことなく荒んだ雰囲気を 感じさせる建物だ。 狭くて汚いエレベーターに乗り、 四階を押す。 勤めてからずっと住んでいる、 2DKの扉を開けた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加