story-01

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「胡桃ちゃん、カズが家まで送っていくって」 「駅まで歩いて10分でしょ。電車で帰るよ」 一也さんに送ってもらったら、潤くんの話題になる。 今日は避けたい気分。 「それじゃあ駅まで一緒にいこ。買い物したいの」 「何買うの?」 「アップルパイ」 「ダイエットの敵だよ」 「いーの」 ダイエットが趣味みたいな桃香がアップルパイって? そんなに美味しいのかしらね。 「パステルに行くんだな。潤くんが好きだったアップルパイだろ」 「カズは私よりもお兄ちゃんのこと知ってるよね」 「ずっと一緒にいたからな」 アップルパイか。 潤くんの思い出って言われると、ちょっぴり気になる。 「私も買って帰ろうかな」 「美味しいよ~」 「そんなにぃ?」 「ホッペが落ちるわよ」 “ホッペが落ちる”って、久しぶりに聞いたわ。 そんなところが桃香らしい。 一也さんは、ちゃんと分かっているみたいだね。 羨ましいなぁ。 「アップルパイは美味いけど、オヤジがボーっとしてるんだよね」 「オヤジって失礼でしょ。カズの1つ上なんでしょ」 「昔からオヤジくさかったんだぜ。まあ、年々若くなっているような気がするけどね」 「私もそう思う!」 「だろ?」 なんだかね。 イチャイチャしてくれちゃってるわ。 それにしても“オヤジ”って。 実際に会ったら、オヤジだった。  
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