story-02

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ずっと潤くんが好きだった。 離れている間も、ずっとずっと好きだった。 初恋の王子様だった潤くん。 高校生の頃、何度か告られたりしたけど、潤くんより好きな人に出会わなかった。 友達には当たり前のように彼氏がいて、それが平均的な女子高生なんだと思ったけど、私は初恋に夢を求めていた。 潤くんが旅立ったとき、もう誰も好きになれないような気がした。 一度も心を伝えられなかった。 一度も心を聞かせてくれなかった。 一度も…。 もし、心を伝えていれば…。 一度くらい“好き”って、言ってくれたかな。 一也さんは、あんなこと言ってたけど。 やっぱり、人違いだと思う。 初恋は成就しないってホントなんだね。 何も言ってくれなかった。 何も。 ズルイよ。 空への憧れも、初恋の温もりも、何もかも失った。 そんなときだから、パステルに足が向いたのかも。 潤くんが好きだったアップルパイに会いたかった。  
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