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私は、多分、恋に落ちたことがない。 好きかな?と思った人は、ただ単純に憧れているだけだったりして、愛とか恋とかそういったものが全くなかった。 だから、きっと私は恋ができない人種なんだ。 そう、思っていた。 だから今回のこともただ単純に憧れているだけで、恋でもなんでもなく、ただ、… そう、ただ… なのに。 そう思っていたのに。 『好きなんだけど?君のこと。』 (あああああ。思い出すだけで顔赤くなりそう…!) 『俺と、付き合うよね?』 (あんなことをあんな人に言われて、私がそれに返事をして? …なにそれ。ちゃんちゃらおかしい。) ふっと苦笑がベッドからこぼれおちてひび割れた。気付くと、涙が頬をつたっていた。 「なぁんだ。…夢かぁ」 (なんだかんだ、嬉しかったのにな) さっきまでぬくぬくだった布団が急に冷えてきた。外気のせいか。それとも、私の心が冷え込んだのだろうか。 (どっちでもいい) もう一度目を瞑ったところで、またアラームが鳴る。私は仕方なく起き上がって、ベッドから抜け出した。
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