1人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
私は、多分、恋に落ちたことがない。
好きかな?と思った人は、ただ単純に憧れているだけだったりして、愛とか恋とかそういったものが全くなかった。
だから、きっと私は恋ができない人種なんだ。
そう、思っていた。
だから今回のこともただ単純に憧れているだけで、恋でもなんでもなく、ただ、…
そう、ただ…
なのに。
そう思っていたのに。
『好きなんだけど?君のこと。』
(あああああ。思い出すだけで顔赤くなりそう…!)
『俺と、付き合うよね?』
(あんなことをあんな人に言われて、私がそれに返事をして?
…なにそれ。ちゃんちゃらおかしい。)
ふっと苦笑がベッドからこぼれおちてひび割れた。気付くと、涙が頬をつたっていた。
「なぁんだ。…夢かぁ」
(なんだかんだ、嬉しかったのにな)
さっきまでぬくぬくだった布団が急に冷えてきた。外気のせいか。それとも、私の心が冷え込んだのだろうか。
(どっちでもいい)
もう一度目を瞑ったところで、またアラームが鳴る。私は仕方なく起き上がって、ベッドから抜け出した。
最初のコメントを投稿しよう!