第2章「言えない自分にサヨウナラ」

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それは俺が高校1年の時。期待と不安の中、初めてできた恋人…いや、恋人と思っていた奴との事だ。俺は自分を並以上だとは思っているけどナルシストじゃあない。最低限の身なりには気遣う程度だ。そして事はちょうど今の時期くらいに起きた。 「あ、あの…!ちょっといいかな?!」 そいつはクラスでは大人しく、目立たない存在だったけどかわいい子だった。思いきって告白した俺はなんとOKをもらった。初めて出来た彼女に舞い上がった。…そうだ…今思えば… バキッ!ガッ!ガツッ! 「…う…ぅう…!」 「オラ!立てよ!1年!」 「1年のくせに調子のってんじゃねぇぞ?!」 バキッ! 「っぐ…!」 「おっ!携帯見っけ!」 「かえ…せ…!」 「うるせぇよ!ん~?おいテメェ、「志帆」ってのは誰だよ?オメェの妹か?」 「柏木志帆って!あの読モだろ!?」 「ほー…!…おい…!オメェの妹俺らに紹介しろや!」 「俺らでかわいがってやるからよぉ!」 俺が告白した女の子は俺が志帆の兄と知っていた。そして俺はその女の子の仲間から好き放題された。 志帆だけは…絶対に守ると決めた俺はそいつらの要求を飲まなかった。そしてそいつらが俺に命じたのは…裸で土下座だ。俺には恥じらいや躊躇いもなかった。志帆だけは絶対に守る…その為なら俺なんか、と。膝と脛に食い込む砂利がとても痛かった。 何度も頭を擦り付けて血も出た。だけど俺は志帆を守る為に耐えた。大人しくて物静かなその子は俺を見て笑っていた。クラスで見せる顔はなかった。そう…俺は…人を信じれない。告白したらまたあんな目に遭うんじゃないのかと。痛いのがイヤなんじゃない。みんなが志帆を狙っていそうだからだ。 レイチェルはそんな娘じゃないかもしれない。でも確信はない。だから俺は…レイチェルに告白できない…。それにレイチェルにはアメリカに好きな人がいるさ…。俺はレイチェルの友達でいいんだ。 いや…友達と言えるかもわからないけど…。
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