第2章「言えない自分にサヨウナラ」

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その日の授業内容は全く頭に入らなかった。教科書を何ページまで進んだかわからないし体育なんて普段はミスらないバスケだってミスを連発していた。放課後に近付くにつれてだんだん自分でも顔が強張ってるのがわかる。心臓が爆発しそうだ。 「柏木」 「……」 「柏木!」 「あっ…はい…」 「まったく…!所詮お前の事だ、いかがわしい事でも考えていたのだろう?」 「…すんません…」 「…む……す、座れ…」 普段は玲子先生に反論するけど反論する気にもなれなかった。そしてHRが終わった…。いよいよだ。レイチェルは俺の顔を見て無言で頷いて教室を出た。…レイチェルが教室を出てから数分がたった。俺は未だに自分の机にいる。行かないと…レイチェルに全部話すんだ。 ガラララ… 「…なんだ柏木か。まだいたのか?」 「…まあ…」 「そういえばお前、今日は1日変だったな。変態なのはいつもだがな。」 「………」 「…どうした?私に話せない事か?」 玲子先生が俺の前の席に座り足を組んだ。普段なら目線はそっちに釘付けなんだけどそんな気にもならない。 「話してみろ」 「…先生には関係ない…」 「…関係ない、か…。1年前の事をレイチェルに話すのか?」 「…!」 「そして話した時にレイチェルに嫌われそうで怖いと…そうゆうトコか?」 「…当たり…」 1年前の事を最初に話したのは玲子先生だった。その時の玲子先生は生徒指導の先生として生徒指導室にいた。俺は生徒指導室に駆け込み、全部話した。その時に玲子先生は「よく戦ったな」と言って傷だらけで、悔し涙をしていた俺を優しく迎えてくれた。 「…私が何故お前に辛く当たるか教えておこう。…柏木、いいか?社会に出ればあれよりも辛く険しい。私は今の内にお前に仕込んでおこうと思ってな。生徒指導から担任教師にしてほしいと…お前を受け持ちたいと校長に言ったのだ。」 「……」 「…私がレイチェルなら…お前がその告白をしたとしても嫌いにはならない。むしろ好きになるだろう。大切な人の為に戦うとは、拳で戦うだけじゃない。時にはどんな屈辱、恥辱にも耐える戦いも必要だ。そしてお前はその戦いに勝った。耐えたではないか。…柏木、いいか?今すぐレイチェルの待つ屋上に行くんだ。そして話せ。柏木勇斗の全てを。」
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