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玲子先生から説得された俺は階段を駆け上っていた。息を切らしても駆け上がる。俺の学校の階段は運動部がトレーニングとして登り降りする長い階段。運動部ですら音を上げるこの階段を俺は駆け上った。そして屋上に着いた。この扉の先にレイチェルがいる。息を一度整えて、俺は扉に手を掛けた。
「レイチェル!」
「…ユウトサン…」
「…ごめん。遅くなって」
「No!そんなコトないヨ。レイチェルは、ユウトサン必ず来ル信じテタネ!」
「ありがとう…」
「…ユウトサン、話しテくれマスカ?」
「…レイチェル…俺は…柏木勇斗は…」
俺はレイチェルに全てを話した。家族の事、妹の事、過去に好きになった人に騙された事、全てだ。レイチェルは黙って聞いてくれた。蒼い目は俺を優しく見つめてくれている。
「…俺は…こんな人間なんだ。レイチェル」
「………」
「これが…俺の話したかった事だよ…」
「ユウトサン…」
「…信じられないだろう?まさか初めて出来た友達が…こんな奴だって…」
「……」
「ごめん…手間取らせて…」
「…ユウトサン…!」
鞄を持って屋上から出ようとした俺をレイチェルが抱き止めた。
「レイ…チェル…?」
「ソンなコトないヨ…話しテくれて嬉シカッタネ…。ユウトサンは…妹サン守る為ニ耐エタ…。ワタシ…暴力的な人嫌いネ…。ユウトサンは優しい人デス。ダカラ…ソンなコト言わナイデ下サイ…」
「……」
「お願いダカラ…レイチェルのトモダチでいて下サイ…」
「レイチェ「ピリリ!ピリリ!ピリリ!」
なんてタイミングで携帯鳴るんだよ…。
「…ごめん、…志帆から?なんだよ…もしも『キモド変態兄貴!あんた今ドコにいんのよ!?』
またこれだ…。志帆は相変わらずピーピーうるさい。
「ドコって…学校だけど…志帆はまだ沖縄だろう?」
『家よ!沖縄での撮影が予定より早く終わって帰って来れたの!なのになんであんたがいないわけ!?超キモい!』
「いや…キモいの意味わかんねぇから…」
『とにかく!今から10秒で帰ってきなさいよ!?わかった?!』
「…今のガ妹サン?」
「あはは…!そうだよ」
「ユウトサン、一緒に帰りマショウ♪」
「そうだな!帰ろうか!」
過去を話した俺はレイチェルと共に帰った。そしてレイチェルを志帆に会わせる事に。
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