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「ねえ、お母さん? サンタさんっているよね?」
「ええ、もちろんよ。大ちゃんは何お願いしたの?」
「え~っとねえ……、ブルドージャー」
「そっかあ、もらえたらいいね」
「うん!」
…………ブルドージャーじゃねえ、ブルドーザーだろ。などと突っ込むつもりは毛頭ないが、イライラはつのる一方だ。
サンタなんぞ信じてやがるかわいくもねえクソガキよ。
今、母親の最後の誘導尋問にひっかかったんだぞ。
まもなく父親に、ブルドーザー購入指令のメールが送信されるであろう。
やけに嬉しそうに笑ってるガキの横を通り越して、俺は地面に唾を吐き捨てる衝動を必死に抑えた。
らしくなく思考が歪んでいるのが自覚できる。
俺は自分で言うのもなんだが、真面目な男だと思う。
常識人であろうとしてきたし、『人に迷惑をかけない』のがポリシーだ。
聖人君子になんてなれはしないが、困ってる人がいれば手を差し伸べるだけの余裕を持つべきだと思っている。
まあ、いつもいつもは無理に決まっているが、少なくとも後ろ指を指されるような人間ではないつもりだ。
…………この時期を除けばだが……。
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