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「おい、新田の姉ちゃんきたじゃねぇか!スポンジいつも通りの量作ってよかったな。絶対余るからよ」
ちらりと後ろのテーブルを見る。炊飯器のおっちゃんが言う通り、祥子は甘い物はかなり食べるからいつもスポンジはかなり大きくなる。我が家では食べきれないレベル。本当に間違っていつも通りの量作ってしまったんだよな。俺の視線に気づき、チラリとそっちを見る祥子。
そんなスポンジを見て固まる祥子。
「もぅ……ツンデレ!あっきゅん超ツンデレだよ!」
そう言いながら俺から顔を背け、冷蔵庫を開けて生クリームを取り出す祥子。
誰がツンデレか。しかし、ナイスだ祥子。な、なんばすっとや!的な冷蔵庫ちゃんのレア過ぎる表情を拝めてしまった。
冷蔵庫ちゃんが恨めしげに祥子を睨んでいる。ライバル(俺)が使役する笑いの神々との死闘を待ち望んでいたのに、目前で横から来た勉学の神々を使役する別の敵に倒されたような面持ちだ。
「これは私の仕事だしね」
エプロンをつけてぺろっと生クリームの味加減を見て頷く祥子。俺はかき混ぜるのは得意だが、スポンジに塗るのは苦手だ。これは毎年祥子がやるから上手くなるわけもない。
サンタエプロンの祥子をなんとなく眺める。
いつも通りのクリスマスパーティーが始まった。
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