2人が本棚に入れています
本棚に追加
美筝「…そうね。焦って、先を急いでも、まだ脆弱な“の組”のままでは、勝ち目なんてない。」
美筝は、考え込んだ。
司「…でも、俺が…俺達が成長するまで、相手側が待ってくれたりはしませんよね?」
美筝「蘊英仁…。」
美筝は、歯痒そうに呟いた。
司「…。」
司は黙り込んで、美筝を見つめた。
美筝「何?」
司「…貴女がそうやって、考え込んでいる時は、いつだって自らを犠牲にする。」
美筝「…。やぁね。それは、前世での話でしょ?」
司「だったら、一人で斬り込もうとしないで下さいね?」
美筝「…。何、心配してんのよ?」
鼻で笑う美筝。
司「約束して下さい。」
美筝「…。…やだ。」
司「姫ッ!」
美筝「…ねぇ、司?」
司「は、はい。」
美筝「心地好い場所に居ると、自分も人に優しくなれたりするの…。」
司「…え?」
美筝「生きる事に執着して、もがいて苦しんで、悪事に手を染めても、それでも自分を大切にする…。」
司「それは、蘊英仁がですか?」
美筝「人が…よ。」
司「人…。」
美筝「貴方も組長も鑪もハチも永昌もジョンも…りんさんも。皆、優しくて、お人好しだわ。」
司「それは、姫だってッ!」
最初のコメントを投稿しよう!