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(シュッ…)
美筝は瞬間技で抜刀し、刃先を司に向けた。
美筝「優しさ、お人好しは…隙を作るわ。…貴方がこの場で斬られても…誰も証人は居ない。」
司「…ッ!」
美筝の気迫に、司は顔を強張らせた。
美筝「仲間との馴れ合い。庇い合い。…戦を行う者が、そんな絆を簡単に信じてはならない。」
司「…。」
司の首もとに、剣先を突き付ける美筝。
美筝「…人ってね…守るべき物の為に、他人を裏切ったり、他人に嘘を付けるもんなのよ…。」
司「…。」
美筝「…怖い?」
口元を微かに緩め、尋ねる美筝。
司「…。こ、怖いです…。けど…ひ、姫に斬られるなら、だ、大丈夫…。」
声を震わせながら、何とか返答する司。
美筝「何、それ…。」
司「…だ、だって…姫だし…。」
美筝「…。」
美筝は構えた刀を下ろす。
司「…ッ…。」
ズルズルッとその場にへたり込む司。
美筝「つまらない男ね…。」
司の隣に、並ぶように座る美筝。
司「…。これだけは多分、皆が口を揃えて言いますよ。『慶乃姫が、死を恐れずに斬り込んでくれたおかげで、我々は命拾いをした。』と…。」
悪戯をする、少年のように笑う司。
美筝「…。やっぱり殺す!」
司「わっ!」
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