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空がようやく白み出す朝の城
早朝であるにも関わらず、城のとある一室では緊迫とした空気が流れている。
「――――さんの行方、掴めましたか?」
ネイムにとてもよく似た顔立ちの少年が室内にいる者たちに訊く。
「いまだ発見には至りません。
しかし郊外に出た形跡は無く、いまだ市街のどこかに潜伏していると思われます」
「急いでください」
「はっ」
少年は別の人物に訊ねる。
「犯人の目星は?」
「手口から見ても城の内部の者が関わったことは明白ですー
怪しい者には監視を付けておきましたー
今のところ不審な動きが無いため【クラブ】との繋がりが考えられますねー」
緊迫した空気の中で緊張感の無い間延びした声を出す女性
不謹慎と思われるのだが、誰も彼女を問い詰めたりはしない。
「……ガウス、要求は?」
「はっ」
名指しされ、少年の隣にいた大男の騎士が前に移動する。
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