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ガウスは少年の前で跪く。
「要求は八千万メル及び“宝剣”です」
“宝剣”の単語を聞くと、その場にいた全員が息を呑む。
「……わかりました。念のために二つとも用意してください」
「御待ちください陛下」
少年の言葉を一人のメガネをかけた優男が止める。
「このようなことに、それほどの処置は必要ありません。
アレとて国に忠誠を誓った身です。国のために命を惜しみはしません」
ガウスは優男を睨む。
「クルト、それが“父親”の態度か?」
「父親だからです。
娘のために国を傾けるようなこと、あってはいけないのですよ」
ガウスを睨み返すクルト
その目には一切の迷いなど無いが、その拳は何かを耐えるように強く握り締められていた。
「……クルト、命令は変更しません」
「しかし、それは」「この場にいる全員が、彼女を助けたいんです」
少年がハッキリとそう言う。
すると部屋にいる者たち全員が頷く。
「宝剣なんて飾りだ。
今のこの国に必要なのはそんなものじゃない」
少年はそう断言し、豪華に装飾された椅子から立ち上がる。
「助けましょう、仲間を」
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