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練習がある日は学校から直行して剣術指導、その後夕食を食べて帰るという流れだ。
今日は休日なので日が高い内から孤児院にやって来た。
「ネイム君、休日でも制服なんだね」
子供たちの食器を下げながらマルタがそう言った。
二人は制服ではなく、農民の者が着るような服装だ。
「二着あるから着回してる」
「他に服は?」
「サクラの餌代で余裕が無い。
まぁここのお陰で多少余裕ができたけどな」
ネイムは席から立ち上がり、壁に立て掛けていた木刀を回収した。
ショウの訓練のため、学校の備品を借りているのだ。
「じゃあ俺は帰る。
ショウにこれを」
ネイムがホルダーから取り出した紙をマリアが受け取り、そこに書かれていた内容を確認する。
「……うわ」
その内容を見て思わず顔をしかめる。
「……あんた、適当な指導してないでしょうね?」
紙に書かれたハードメニューをネイムに突き付ける。
「それは俺がショウより小さい頃にこなしたメニューだ。
それができなきゃ何も教えられねぇよ」
ちなみにショウは現在自室で死んだように眠っている。
指導が終わる度にショウは力尽き、いまだに一緒にご飯を食べたことはない。
「じゃあな」
木刀をホルダーに帯剣してネイムはリーネル孤児院を後にする。
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