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一人は細身で青い髪の白人である。
「……もしかして噂のリンドブルムじゃないか?」
青髪の男の発言を筋骨隆々な赤髪の男が笑う。
「まさか、アレはガセだろ」
青髪の男は小さくなっていくネイムの後姿をいまだに見ている。
「だがアレがただの飛竜でないのは確かだ。
トールキンで売れば高く買い取ってくれんぞ?」
「止めとけ止めとけ」
赤髪の男は肉がまだすべて残っている串を豪快に一口で食べてしまう。
「そうでなくとも危ねぇ橋渡ってんだ。欲を掻いて痛い目に遭うぞ」
「……ちぇ
…………じゃあ、あの娘はアンタに譲るとするか」
「は?」
青髪の男はまだ食べていない串を赤髪の男に放り投げた。
男は驚きながらも串をちゃんとキャッチした。
「生憎オレッチはアンタと違ってまだ軽犯罪組なんでな。
まだ若いし、極刑確実の罪を被りたくねぇのよ」
「バカな奴だな。
一生遊んで暮らせる金が手に入るのに……」
青髪の男は顔を隠すようにフードを深めに被る。
「アレが噂のリンドブルムなら結果は同じさ。
じゃあな、“狂犬”さん」
そう言い残し、男は人ごみの中へと消えていく。
途中まで赤髪の男が目で追っていたが、すぐに見失ってしまった。
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