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ネイムが入ると同時に中にいたアルカが扉を施錠する。
中には他に銀行の者一名と三名の騎士らしき恰好の者がいて、ネイムが入ってきたのをキッカケに振り返る。
「なっ……!」
「陛下?!」
「……なぜここに?」
ネイムの顔を見て一様に絶句
銀行の責任者と思われる男は戸惑い、アルカは顔を手で覆ってため息をつく。
「あ、人違いです」
ネイムは自分がカリウス陛下と間違われていることに気づきすぐにそう言った。
しかし騎士たちはそのことでますます訳が分からないという困惑とした表情を見せる。
「……アルカ、どういうことだ?」
「……えー、っと…………なんと言ったらいいのかなぁ?」
この場でのリーダーらしき銀髪の男が説明を要求し、要求されたアルカは困ったような顔をする。
そのまましばし沈黙が流れ、じれったくなったのかネイムが一歩前に出た。
「俺は――ゴホッ……自分はモリア様の計らいでアルギム騎士養成学校に通わせて頂いている者です。
ネイム・レスと申します。
皆さんは近衛騎士の方々とお見受けいたしますが……」
言葉遣いを丁寧にして、頭を低くする。しかし顔は下を見ずに三人の騎士を品定めするように上げたままだ。
三人はモリアの名を聞いてさらに顔色を変える。
どうやらネイムのことを知っているのは近衛騎士の中でも限られていたらしい。
「……確かに、我々は近衛騎士だ。
私は【ゼノン・K・ゼフォン】」
ゼノンが名乗ると、他の二人の騎士も名乗りだす。
先に名乗ったのは眼鏡を掛けた金髪の男である。
「エリック・N・グリアだ」
「……ミーナ
ミーナ・K・メイム」
ミーナと名乗る女騎士は長い白髪でパッと見はネイムよりもずっと幼いようだ。
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