再会&誘拐

13/49
前へ
/241ページ
次へ
「……ちなみに、ネイム・レスというのは本名なのかな?」 ゼノンのその質問にネイムは苦笑しながら頷く。 「残念ながら、本名です」 直訳すれば“名無し” そんな名前が本名だとは簡単には思われないだろう。 「そうか、すまなかった。 君はどうしてここに?」 「モリア様の名義のお――自分の口座があるので、貯金を崩そうと すぐにお金が必要だったので」 そこまで聞いて「そうか」とゼノンは頷く。ゼノンは目を細めながら、冷淡な言葉をアルカに向けた。 「それで、これはどういうことだ? 我々は何も聞いてないのだが?」 「それは、えーっと、そのー……」 再びアルカへと質問の矛先が向かう。 アルカは質問に答えたくないのか、言葉を濁すばかりで話は一向に進まない。 「それは本人に訊いた方が早いと思うけど?」 突如ネイムがそんなことを言う。 それは自分に訊けということなのかとこの時ゼノンは思ったが、それは違った。 『その通り。 それに、アルカさんは何も知りませんよ』 そう言いながら、誰かがゼノンの肩に手を置いた。 《ッ!!?》 ネイム以外、誰もその人物の登場に気がつけず驚愕に色を顔に浮かべた。 そこに現れた人物は。丁度話題に上がっていた人物であった。
/241ページ

最初のコメントを投稿しよう!

20646人が本棚に入れています
本棚に追加