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「……ちなみに、ネイム・レスというのは本名なのかな?」
ゼノンのその質問にネイムは苦笑しながら頷く。
「残念ながら、本名です」
直訳すれば“名無し”
そんな名前が本名だとは簡単には思われないだろう。
「そうか、すまなかった。
君はどうしてここに?」
「モリア様の名義のお――自分の口座があるので、貯金を崩そうと
すぐにお金が必要だったので」
そこまで聞いて「そうか」とゼノンは頷く。ゼノンは目を細めながら、冷淡な言葉をアルカに向けた。
「それで、これはどういうことだ?
我々は何も聞いてないのだが?」
「それは、えーっと、そのー……」
再びアルカへと質問の矛先が向かう。
アルカは質問に答えたくないのか、言葉を濁すばかりで話は一向に進まない。
「それは本人に訊いた方が早いと思うけど?」
突如ネイムがそんなことを言う。
それは自分に訊けということなのかとこの時ゼノンは思ったが、それは違った。
『その通り。
それに、アルカさんは何も知りませんよ』
そう言いながら、誰かがゼノンの肩に手を置いた。
《ッ!!?》
ネイム以外、誰もその人物の登場に気がつけず驚愕に色を顔に浮かべた。
そこに現れた人物は。丁度話題に上がっていた人物であった。
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